屋根葺き替え時に考えることの中に、断熱の問題があります。 屋根の断熱には、断熱を施す場所が主に2つ、屋根自身での断熱と、小屋裏(天井裏)がある場合は、天井断熱があります。費用的には一般的に天井断熱の方が高くなりますが部屋自身を断熱するので、天井断熱のほうが効果的と言えます。この方法を記載します。
屋根材での断熱と天井での断熱との比較です。
A図: 屋根断熱の様子部屋の空気は、小屋裏まで上り暖気、冷気の行き来があります。
B図: 天井断熱の様子部屋を外界から遮断する方法天井裏より上の空気の行き来はありません
どの材料を使うかは別として天井断熱は部屋そのものを断熱する考え方です。屋根材による断熱ではないので、屋根屋の仕事ではありません。別途大工か、断熱屋さんに依頼しなくてはなりません。
また屋根断熱、天井断熱とも屋根の換気口を書いてありますが、小屋裏、野地板の湿気を逃がすように結露防止には、必要と思います。断熱性能基準から言えば、旧住宅金融公庫(融資を受けるための最低レベルの断熱基準)の基準では、断熱材の厚さは、65mm以上、次世代省エネ基準では、200mmです。
屋根の部分での200mm厚の断熱材の施工は、構造上不可能ではないですが、リフォームでは、金銭的にも、技術的にも、難しいと言えます。200mmの断熱材を施工するには、天井断熱の方が優位となります。屋根葺き替え時には、考慮したいですね。
C図: グラスウール材
D図: 発砲ウレタンフォームをボード状にしたもの50mm(最低レベルの断熱基準)
E図: 発砲ウレタンの天井への吹付施工ウレタン厚さ:約100mm
F図: グラスウール100mmを天井裏に敷いた状態。袋に入っていますが、その袋間に隙間があり断熱性能としては良くないです。
厚さ:約200mm(次世代省エネ基準の厚さはOK)天井の下から断熱を施工するのは、大工仕事が必要。
H図: セルロースファオバーを300mm、天井裏に敷いたところ。降り積もらせるだけなので施工が簡単で、隙間なく300mmの厚さを確保できる。(次世代省エネ基準を簡単にクリア)
天井での断熱には、天井の下から断熱材を施工する方法と、天井の上(天井裏)からの施工とがあり、天井裏に施工する方が遥かに簡単で、費用的にも有利であることは直ぐに理解できると思います。
ただ屋根裏に断熱材を置くだけの建築屋さんが多いのも事実で、その断熱の施工後の写真を堂々と掲載しているのには、驚きを禁じえません。グラスウール100mmの断熱材を折角施工するのですから、隙間なくきっちり仕事をしてもらいたいものです。部屋の断熱、屋根の断熱、天井の断熱すべて断熱するものは、断熱材を隙間なく施工することがもっとも重要です。その点、綿状になったものや発砲系の断熱材は、隙間なく施工するという観点では、他の断熱材より優れていると思います。
<断熱性能基準>
・旧省エネ基準;(昭和55年告示)断熱等級2級
・屋根または天井の断熱材の厚み:40mm
・次世代省エネ基準(平成11年告示)断熱等級4級:
屋根の断熱材の厚み: 230mm
天井の断熱材の厚み: 200mm
<断熱材の素材、原料の解説>
発砲ウレタン:
イソシアネート基とアルコール基等の水酸基を有する化合物が縮合してできる。ウレタン結合でモノマーを共重合させた高分子化合物である。初めは抗張力や、耐油性に優れるが、素材が空気に触れた時から劣化が始まる。高湿度下では、劣化が促進され、水、湿気、水分による加水分解や空気中の窒素酸化物)、塩分、紫外線、熱、微生物などで分解される(劣化)。
グラスウール:
建築物や自動車の窓に使われていた廃ガラス、ビンガラス、ブラウン管、蛍光灯などの廃ガラスが主な原料で、溶かしたガラスを遠心法で綿状とする。
ロックウール:
玄武岩、鉄炉スラグなどに石灰などを混合し、高温で溶解し繊維状に加工された人造鉱物繊維である。 断熱材として広く用いられるほか、音を吸収する材料としても用いることができる。耐火性にも優れていることから、アスベストの代替材として使われている。主成分は二酸化ケイ素と酸化カルシウムで、単繊維径は3~10μmと非常に細い繊維状。
セルロースファイバー:
古くから用いられる断熱材の一つであり、綿・おがくず・新聞紙などの多くの自然材が利用されてきた。現代のセルローズファイバー断熱材は古新聞などを細かくし難燃剤としてホウ酸を添加したものである。高密度に施工された物には、副次効果として防音効果が極めて高い。天井にセルローズファイバーを隙間なく降り積もらせて施工することにより、高い気密性と防音性をもたせることができる。高価な断熱である。(天井裏に施工する場合、¥2、500/㎡、100㎡で¥250,000)
工事種目:
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